自分を責める医療から、自分を大切にする医療へ― 限界から見えた新しい世界
地方へ移住し、一人科での診療や人手不足の現実に直面した阿部恭子医師。
周囲の期待に応えられない自分を責め、「環境のせいだ」と苛立ちを抱えながら、心身は限界に近づいていたといいます。
医師としての責任感と、自分を責め続ける思考のはざまで揺れ動く日々。
そんな中、偶然耳にしたPodcastが、コーチングへの第一歩となりました。
内面と向き合うことへの恐怖を抱えながらも学びを続けるなかで、
「自分を大切にすることが、持続的な貢献につながる」
という深い気づきに辿り着きます。
いま阿部医師は、自己犠牲のなかで傷つく医療者に光を届けたいと願っています。

ご自身のストーリーを象徴する一言を教えてください。
自分を大切にする医療へ。私の歩みから、そう言えると思います。
まず、コーチングに出会う以前のご自身について伺えますか。
どんな毎日を過ごしていて、どんな思いを抱えていたのでしょうか。
地方へ移住した後、一人科での診療や人手不足という厳しい現実に直面しました。
仕事でもプライベートでも、周囲の期待に応えられない自分を責め、強い罪悪感を抱くようになっていました。
「今の自分がこのような状況にあるのは環境のせいだ」と、外的な要因に苛立ちを感じることも多く、疲弊が積み重なった結果、心身の限界を感じるほど追い詰められていました。
そんなタイミングで、どのようにコーチングと出会われたのでしょうか。
八方塞がりの日々の中で、浅川麻里先生(日本医師コーチング協会 代表理事)のPodcastに出会いました。
そこからコーチングのワークショップに参加したことが、私にとって最初の一歩となりました。
「この状態から抜け出したい」という思いでコーチングプログラムに申し込みましたが、自分の内面と向き合うことには強い恐怖があり、「自分には何もないのではないか」という不安を常に抱えていました。
それでも学びを続ける中で、心の奥に閉じ込めていた自分の思いや痛みに、少しずつ触れられるようになっていきました。
その後、どのような変化が訪れたのでしょうか。
医師のためのコーチングの学びを続ける中で、自分自身を苦しめていた制限的な思考に気づき、それらを俯瞰し、少しずつ手放せるようになっていきました。
思い込みが外れていくにつれ、心にかかっていた霧が晴れ、内側にあった熱意や信念を、再びはっきりと感じられるようになりました。
「自分の人生を決めるのは自分であること」
「自分を大切にすることが、結果として他者への持続的な貢献につながること」
これらを心から理解できたことは、私にとって大きな転機でした。
環境そのものが変わらなくても、自分の在り方が変わることで、世界の見え方は大きく変わり、人間関係にも良い変化が生まれたと感じています。
最後に、これからのビジョンを教えてください。
医療の現場には、自己犠牲やモラルインジャリーの中で傷つき、自分自身を見失いかけている医療者が少なくありません。
そのような方々が、コーチングを通して、ご自身の中にある「光」に自ら気づけるよう伴走していきたいと考えています。
そして、医療者一人ひとりがいきいきと働ける未来を、仲間とともにつくっていけたらと願っています。
