揺らぎと問いが力になる
“役に立たなければ”から自由になった心の旅
心療内科医として、そして臨床倫理コンサルタントとして、患者一人ひとりの声に丁寧に向き合ってきた浦川史歩医師。
人の喜ぶ顔を見ることを何よりのやりがいとしながらも、「役に立たなければならない」という思考に自らを縛りつけていた時期があったといいます。
海外生活や妊娠・出産という人生の転機を経て、自身が開設したクリニックでの対話を重ねる中で、「本当に大切にしたいものは何か」という問いが深まっていきました。
症状改善を超え、患者が自立性やエンパワメントを取り戻していく姿に触れる中で、コーチングの可能性を実感します。
揺らぎや問いを否定するのではなく、それを力へと変えていく。
浦川医師は今、医療者としての新たな在り方を模索し続けています。

ご自身のストーリーを象徴する一言を教えてください。
揺らぎと問いを力に変え、旅を続ける人、だと思っています。
まず、コーチングに出会う以前のご自身について伺えますか。
どんな毎日を過ごしていて、どんな思いを抱えていたのでしょうか。
人の喜ぶ顔を見ることが好きで、医師としてのやりがいは大きく感じていました。
しかし次第に、「役に立たなければならない」という思考に自分自身を縛りつけていたことに気づくようになりました。
興味を持ったことがあっても、「医師として必要ない」と切り捨ててきた経験は少なくありません。
海外生活や妊娠・出産を経験する中で、そうした生き方をあらためて振り返り、自分の人生そのものを問い直すようになりました。
そんなタイミングで、どのようにコーチングと出会われたのでしょうか。
自分が開設した「女性のための心療内科」における特別再診での関わりが、コーチングとの出会いのきっかけでした。
丁寧に対話を重ね、患者さんご自身の選択や主体性を尊重する関わりを続ける中で、「これはコーチング的なアプローチではないだろうか」と気づくようになりました。
そのような関わりを通して、症状の改善にとどまらず、自律性やエンパワメントを獲得していく方々の姿を目の当たりにし、コーチングの力を実感するようになりました。
その後、どのような変化が訪れたのでしょうか。
学びを深める中で、自分の思考や行動の背景には、過去の経験や価値観が無意識のうちに影響していることを、以前よりもクリアに理解できるようになりました。
それらを丁寧に扱っていくことで選択の幅が広がり、自分自身の成長にもつながっていると感じています。
また、関わる方々が本来持っている力を発揮していく過程を目にする中で、個人の変化はその人自身にとどまらず、社会にも良い影響をもたらし得るのだと実感するようになりました。
最後に、これからのビジョンを教えてください。
医療者は高度な専門性を持ちながらも、過酷な環境やさまざまな制約の中で大きな負荷を抱えながら働いています。
心療内科や臨床倫理の視点から見ても、医療者自身の働き方や在り方を見直すことは非常に重要だと感じています。
医療者がいきいきと働けることは、結果として医療の質の向上にも直結します。
その実現に向けて、コーチングというアプローチを通じて貢献していきたいと考えています。
